2006年07月11日

Starting Over

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フランクフルトに向かう列車の中にいる。2006年ドイツワールドカップは、先程イタリアの優勝で幕を閉じた。1ヶ月以上ドイツに滞在したが、振り返ると色んなことがあった。強く印象に残ったのは、カメラマンのチケット問題だった。今日の決勝も、ピッチもスタンドも既にスペースがないという理由で取材を拒否されてしまった。入れなかった人の数は、ざっと30人はいただろうか?僕らは何とかしてスタジアムに入ろうと考えた。前半が終了した時点で、どさくさに専用ゲートへと流れ込んだ。カメラボディーは一台、レンズも2本だけにして、幾つものゲートを潜り抜けた。警備員にばれたら即つまみ出されてしまっただろう。それはもう命がけだった。時には思い切って行動する勇気もカメラマンにはなくてはならない。今日の決勝は、まさにそんな日だった。

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もう一つ印象に残ったことは、日本が世界に見せたサッカーだった。初戦は本当に悔しかった。悔しくて悔しくてどうしようもなかったけど、2戦目3戦目になると、もう悔しいを通り越して「悲しい」に変わっていた。ジーコがどうのという問題というよりも、原因は選手のファイティングスピリッツだったと僕は思った。4年に一度、夢の舞台にたどり着いた選手は日の丸を背負う。代表のユニフォームに袖を通したその時から、日本のプライドを持って戦って欲しい。

何処の試合かは思い出せないが、素敵なシーンに巡りあった。10才くらいの子供が親の手を取りスタジアムに急ぐ姿だった。スタジアムからは既にイングランド国歌が流れていて、3分後にはもう試合が始まろうとしている。赤いアウェーのイングランドシャツを着た男の子は、今にも泣き出しそうな顔で父親の手を必死につかみ、ひたすらゲートに向かって走っていた。子供の焦りとは裏腹に、父親は息子にやさしく微笑み、一緒に走ってゲートに消えて行った。今回僕がドイツで見た、素敵なシーンの一つだった。残念ながらその時の写真を撮ることが出来なかったけど、しっかりと僕の脳裏に焼きついている。このブログを始めた時、一番最初に皆さんに紹介した冨樫洋一さんのことを書きたいと思う。僕は今回、デザイナーの川田氏に無理を言って作ってもらった、冨樫さんの顔写真と名前が入ったTシャツを、開幕戦や日本戦、今日の決勝戦などの大事な試合に必ず着て仕事をしていた。一ヶ月間、スタジアムに通った日々、僕は彼がどこかで見ているんだろうな・・・と思っていた。自分の好きな絵が撮れた時には、心の中で写真を見せていた。きっとうなってくれていたに違いない!(笑)

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銀色の紙吹雪や紙テープが、ベルリンの会場に舞っていた。冨樫さんが生きていたら・・・はもう辞める。僕は今日、彼とお別れをすることが出来た。「冨樫さん、今までどうも有難う。安らかに眠って下さい」今、車窓から僕の目の前に広がっている風景は、まもなく朝を迎えようとしている綺麗な濃い青色の空だ。代表ユニフォームに良く似た濃い青色。今日から4年後に向けて、日本が再び南アフリカに向けて出発する。僕も天国にいる冨樫さんも、再び長旅に出かける。夢の舞台を目指して、再びオシムさんと歩き始める。ブログを見に来てくれ、応援のメッセージを送ってくださった人たちに、心から、お礼を申し上げます。FOOTRACK代表の里見さん、川田さん、山下さん、佐藤さん、目黒さん里見夏生さんにも感謝をいたします。最後に長い期間、日本から僕をいつも支えてくれた妻に、ありがとうと伝えたい。

2006年07月08日

チケットの行方

ワールドカップも残すところあと2試合。現地では様々な感動、出会い、そして沢山の苦労があった。明日の3位決定戦にも行くが、相変わらずピッチに入れるかは分からない。今回は取材が思うように行かず、カメラマンが頭を抱える大会となってしまった。

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大会期間中のホテル、食事、移動、チケット。様々なことを考えると、ワールドカップを見るには莫大なお金が掛かります。日本の大手旅行代理店から、決勝のチケットを35万円で購入したという話を聞いた。本来は600€(約9万円)のチケットだ。もうワールドカップは、お金持ちしか来なくなってしまうのだろうか?

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泣いても笑っても、残りは2試合。最後まで良い絵を探していきたい。せめて決勝だけはしっかり取材さて欲しい。

2006年07月03日

十字架とビール

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イングランド vs ポルトガルの試合は、街で行われているパブリックビューイングで撮影した。広大な広場では、一万人を優に越えるサポーターが気温30度を越す炎天下で観戦していた。こんな日はやっぱりビールが良く売れる。イギリス人の気質なのか、この日もイングランドサポーターはケンカをしていた。帰りにも警官隊との衝突や、レストランに向けての投石があり、沢山のガラスが割れていた。

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こうして嫌な思いもしたけど、この日出会った一人のイギリス人サポーターの姿が印象に残った。PK戦の時、あまりの恐怖からか彼はスクリーンを見ることが出来なかった。十字架のネックレスを口にくわえ、手を合わせてひたすら神に祈りはじめた。写真を撮ってて、ジーンと来てしまった。

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でも何かが違う・・・。あっ、お祈りしている手と手の間にビールが!感動的なシーンではあったけど、やっぱりビールと一緒に祈っちゃ駄目だ。