2009年05月20日

怪我をしたハチドリ

サッカーは、同じチームを何度も見ていると、色々な “情”が出てきて、いつの間にか「もっとこうしたら良いのに・・ああしたら良いのに・・」という具合に、気がつくと自分が周りのサポーターと同じ空気の中にいたりする。国内、国外を問わず、そんな気持ちにさせてくれたチームは、今までいくつもあった。最近では、仕事でFC町田ゼルビアとお付き合いするようになり、ホームゲームへ頻繁に通うようになった。今では試合結果が気になるチームになりつつある。

昨日は、怪我で入院を続けている町田のFW、勝又慶典選手のお見舞いに行ってきた。アクシデントは皮肉なことにJFL昇格後の初のホームゲームで起きてしまった。今シーズンの出場は難しいと噂されているが、早くピッチに戻ってきて欲しいものだ。昨年、石垣島で行われた『全国地域リーグ決勝大会』で、彼のプレーを見ることが出来た。出場チームの中での存在感はダントツで、僕にとって、気になる選手の一人となった。緩急のあるドリブルは、僕がコスタリカに滞在していた頃によく見かけた『ハチドリ』の動きを連想させた。

病院の階段を登りきりると、廊下で松葉杖を“ぎこちなく”使う勝又さんとバッタリ。「アッ!」とお互いに声を上げ、二人で再会を分かち合った。松葉杖スタイルでの握手は一苦労。面会時間外だったので、直ぐに帰ろうとしたのだが、「大丈夫、大丈夫ですよ」という勝又さんの言葉につられ、他の患者さんに迷惑のならないよう、サロンで話しをすることにした。車椅子生活から脱出して、今日から松葉杖で生活を始めたとのこと。足に付いて、気持ちについて、復活に向けての決意やリハビリについて、多くの事を話し合った。話しの中で印象に残ったのは、彼は意外にも、プレッシャーや期待を背負っている方が良いと言うことだった。普通はそのような環境を嫌がるけれど、彼にはプラスになることもあると言う。「しっかりゆっくり足を治して復活してくれよ、という言葉を皆かけてくれるけど、逆に、あいつまだ退院してこないのかよ!何してるんだ!とかって言われる方が、結構プラスになるんです」と、こんな具合だった。

PKY090518_0028_01s.jpg別れ際、病室へ向かう彼の姿を写真に納めた。普通に明るい病院内。でも、レンズを通して見えた光景は、重く、暗く、長いトンネルを歩いている様にも見えた。この姿があるから、ピッチに戻った勝又さんは、間違いなく強くなる。この姿を目の当たりにした僕もまた、彼を追いかけながら、支える準備が出来た。選手とメディアの在り方が、このお見舞いで生まれた瞬間でもあった。